スリッページとは、注文時に想定していた価格と実際に約定した価格の差のことです。注文した価格とは異なる価格で約定する場合に発生します。スリッページはさまざまな状況で起こり得ます。
通常、市場の流動性が低い時に発生します。これは主要な世界の金融機関が閉まるマーケットのロールオーバー期間中に特に見られます。
こうした低流動性の時間帯に取引を行うと、スリッページが起こりやすくなります。スリッページの主な原因は、注文した価格帯に対する反対注文が存在しないことです。流動性が低いとスプレッドも広がりやすくなります。
流動性の低い通貨ペア(マイナーやエキゾチックペア)は、スプレッドの拡大やスリッページが起こりやすい傾向があります。
週末ギャップ — 数日、数週間、あるいは数ヶ月といった長期間ポジションを持つスイングトレーダーにとって、週末明けの相場はギャップを伴って始まることがあります。この場合、ペアの始値がストップロス(SL)やテイクプロフィット(TP)に到達することがありますが、SLやTPレベルに関わらず、実際の約定価格は異なることがあります。
高ボラティリティの市場状況 — NFP(非農業部門雇用者数)やCPI(消費者物価指数)などの重要な経済指標発表時および直後に、市場が急激に動き、スリッページが発生しやすくなります。
ポジティブスリッページ — トレーダーにとって有利な価格で約定することを指します(ポジションのオープンまたはクローズ時)。
以下の2つのケースがあります:
「買い」ボタンを押した際に、アスク価格が下がる場合。つまり、買い注文が希望価格より低い価格で約定し、利益が増える可能性があります。
「売り」ボタンを押した際に、ビッド価格が上がる場合。つまり、売り注文が希望価格より高い価格で約定し、利益が増える可能性があります。
これらはエントリー時の例ですが、エグジット(決済)時にも同様に起こります。買いポジションの決済(売り注文)で期待より有利な価格で約定すればポジティブスリッページとなり、売りポジションの決済でも同様です。
ネガティブスリッページ — 希望した価格で約定しない場合に起こります。
買い注文を出した価格より高い価格で約定した場合。
売り注文を出した価格より低い価格で約定した場合。
上記の例で示したように、スリッページの種類はいくつかありますが、その主な原因はシンプルです。注文をサーバーに送信し、約定するまでに時間がかかるため、その間に市場の価格変動や流動性状況により希望価格と異なる価格で約定する可能性が生じます。注文は流動性提供者や市場の価格に合わせてマッチングされるため、タイムラグがスリッページを生む条件となります。
スリッページと注文執行
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